オーストラリア検疫検査局ニュース 2010年 
                                                                    
12月22日2010年 中古の水産養殖装置の輸入条件を変更−豪検疫検査局

  オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、中古の水産養殖装置・設備の輸入条件を変更した。 
  中古の水産養殖装置の輸入については、カキヘルペスウイルス(OsHV-1 μvar)などの病原菌がカキ(オイスター)に感染する高いリスクがある。 カキヘルペスウイルスによる病気の発生は、ヨーロッパやニュージーランドで報告されてる深刻な問題である。 このカキヘルペスウイルス自体は人や食品安全へのリスクはないが、カキを死滅させ、カキ業者に大きな損失を与える。 今まで中古の水産養殖装置の輸入については、特に規制がなかったため、カキヘルペスウイルスが海外に広まった可能性がある。 
  これにより、2010年12月16日から、海水や水産動物と接触したことがある中古の水産養殖装置・設備は、輸出国がどこであれ、オーストラリアに到着する前に洗浄されなければならない。 中古の水産養殖装置・設備がオーストラリアに到着後は、検疫検査局指定の建物に直接搬入され、輸入者に引き渡す前に消毒剤(Virkon Aquatic)を使って洗浄される。 (Source: AQIS, Notice to Industry 69/2010, 16/12/10 "Change to AQIS policy on the import of used aquaculture equipment")

09月29日2010年 動植物を申告しなかった旅行者に強硬な措置−豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、アデレード空港での4件の違反に対して、罰金でなく刑事訴追する強硬な姿勢を示した。 
  それらの4件の違反は、繁殖目的で外来種の球根、土が付着した根がある生植物、種子、生きたサボテンなどが事前の申告なしで、オーストラリアに持ち込まれようとしていた。 
  検疫検査局のティム・チャップマン職員は、「それらの植物は、年間320億ドルの輸出額があるオーストラリアの農業輸出や、農業に従事する27万2,000人の雇用を脅かすものである。 検疫検査局はそれらの違反者に対して、その場の罰金でなく、刑事訴追を求めている。  これによってオーストラリアに入ってくる旅行者に対して、外来の害虫や病気からオーストラリアの農業を守る強いメッセージを伝えたい」と話した。 
  旅行者はオーストラリアに到着の際、すべての食品、植物、動物製品を検査の為に申告しなければならない。 (Source: AAP, 24/09/10 "Border security crackdown in Adelaide")
06月09日2010年 アメリカからのチェリーの輸入条件が変更 − 豪検疫検査局

  アメリカからの食用の生のチェリーの輸入条件が2010年5月18日から変更になった。 
  この変更は、アメリカでの収穫前の果物に大きな被害を与えるオウトウショウジョウバエ(Drosophila suzukii)の感染拡大を受けたものである。 新しい輸入条件は、オーストラリアに輸出されるすべてのチェリーはアメリカにおいて、燻蒸後と船積み前に米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)による拡大鏡を使った検査が義務付けられる。 
  アメリカからオーストラリアに輸入されるすべてのチェリーには、次の文言が記載された植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)が添付されなければならない。 

“The consignment has been inspected post-fumigation using 20× magnification of a 600 fruit sample, with any fruit showing signs of infestation being cut and found free of all live stages of Drosophila suzukii.”

(Source: AQIS, Public Quarantine Alert  PQA0665, "Amended import conditions for fresh cherries from the United States of America")

06月02日2010年 カエル2匹が海外から侵入して大騒ぎ − ケアンズ港

  クイーンズランド州北部の港で、2匹の嫌われ者のヒッチハイカーがオーストラリアへの入国を阻止された。 
  ケアンズとウェスト・パプアのアママパレ(Amamapare)を定期的に運航する貨物船”テレトリー・トレーダー号”に便乗してケアンズの港に着いた2匹の小さなヘリグロヒキガエル(縁黒蟇蛙、Black Spined Toad、Bufo melanostictus)が目撃された。 
  港湾荷役業者Northern Stevedoring Services (NSS)社の従業員2人と、連絡を受けて駆けつけたオーストラリア検疫検査局(AQIS)の職員が、陸上をうろついているこの2匹のカエルを捕獲した。 
  ヘリグロヒキガエルはインド、中国、アジア南部に生息するカエルで、現在オーストラリアで問題となっている有害なオオヒキガエル(Cane Toad)と近い種である。 オオヒキガエルと比べて、低い気温でも生きることができ、オーストラリアのバイオセキュリティーにとってより大きな脅威となる。 ヘリグロヒキガエルがオーストラリアで繁殖すると、国内のカエルとエサの獲り合いとなりオーストラリアの生態系に大きな影響を与える。 
  AQISは予防策として、ケアンズに到着するすべてのコンテナをカエルを検査する特別な場所に移し、目視検査して洗浄する。 空のコンテナも内部を検査し洗浄する。 また、ケアンズ港周辺に設置しているカエル捕獲器を定期的に調べている。 (Source: DAFF10/005D, 26/005/10 "Nasty toad invaders halted at Cairns port)

04月21日2010年 検疫予算削減で日本向けリンゴ、鮭、チェリーに影響-タスマニア州
  予算の削減によって、タスマニア州の空港でのバイオセキュリティー検査、ミバエの捕獲、コンテナの検査が縮小される恐れが出てきた。 
  タスマニア州政府バイオセキュリティーのマネージャーのアレックス・シュハープ氏は、「州政府の財政が厳しい中、いろいろな分野において経費の削減が必要になってくるかもしれない。 しかし、来年度の予算が発表されるまでは、はっきりした事は分からない。 すべてのマネージャーに経費削減の方法を検討するように話している。 空港での検疫犬チームの削減は現時点では考えていない。 検疫犬チームによる検査は、エックス線や職員自身の検査よりも費用対効果は大きい。 しかし、他の分野は削減される可能性がある。 オーストラリア本土からフェリーでタスマニア州Devonportに到着する自動車の検疫検査はすでに削減されている。 すべての自動車を検査する代わりに、検疫リスクが高い自動車だけを検査している。 一部のマネージャー・グループの意見では、検疫犬チームの規模、空港での抜き打ち検査、ミバエの捕獲検査、穀物の輸入検査、貨物コンテナ検査を縮小すれば、年間35万ドルの経費削減となると指摘している。 これらは検討に値するが、今のところ決まったわけではない」と語った。 タスマニア州政府は州境において、検疫検査に年間約600万ドルの費用をかけている。 タスマニア州は世界でも最も厳しい検疫体制やバイオセキュリティー規則を持つ州である。 そして、このことがクリーンなイメージを与え、タスマニア産果実、シーフード、食肉に対して国内外からの需要が高い。 
  地域社会・公営企業の労働組合のトム・リンチ氏は、「州境においての検疫検査の削減はサーモン、チェリー、リンゴなどの貴重な輸出マーケットを失うことになる。 特にタスマニア産のリンゴは日本のマーケットに大きく依存している。 それらの商品の輸出が危険に晒されることになる」と話した。 (Source: The Mercury, 18/04/10 "Biosecurity cuts loom")
03月31日2010年 馬インフルエンザで一時的に禁止となった日本からの馬の輸入が解禁 

  2007年に馬インフルエンザ(Equine Influenza EI)が発生して以来初めて、厳格なバイオセキュリティ対策を条件に、日本の馬が間もなくオーストラリアへの輸入が許可されることになる。 
  連邦政府のトニー・バーク農業・水産・林業相は、輸入リスク分析(IRA : Import Risk Analysis)を完成させたBiosecurity Australia (BA)の今回の決定を歓迎した。 同相は、「馬インフルエンザ発生によるオーストラリア経済への損失は明確には分からないが、10億ドルと推定される。 この発生でオーストラリアの競馬業界、雇用、経済に大きな影響が出た。 この新しい輸入リスク分析を使った検疫対策は、オーストラリアの厳しい科学的な要素を基にしたバイオセキュリティの規則である。 証明書、病原菌検査、輸出前の検疫、到着後の検疫が含まれている。 海外からの馬に対する輸入条件は、馬インフルエンザが発生したあと、暫定的に導入された検疫対策と類似している」と話した。 
  今回の決定で、オーストラリアで馬インフルエンザが発生後、日本からの馬の輸入が一時停止になっていたのが、バイオセキュリティの条件を満たせば輸入が再び可能となるものである。 そうなれば、日本の馬がメルボルン・スプリング・カーニバルへの出場が出来るようになる。 (Source: The Hon. Tony Burke MP, Minister for Agriculture, Fisheries and Forestry, DAFF10/401B, 24/03/10 "Australia to continue importing horses from approved countries")

03月24日2010年 EUが臭化メチルによる燻蒸を禁止 − 豪検疫検査局
  2010年3月18日からEU(欧州連合)は、検疫や貨物の事前燻蒸などのほとんどの目的のための臭化メチル(Methyl bromide)の使用を禁止する。 これによって2010年3月18日以降、EU諸国が行なった臭化メチルによる燻蒸証明書は無効となる。 
  しかし、臭化メチルによる燻蒸を必要とする貨物については、オーストラリアに到着後、認可を受けた燻蒸業者(accredited onshore treatment providers)で燻蒸処理が出来る。 (Source: AQIS, Notice to Industry 8/2010, "European Union (EU) Phase out of Methyl Bromide Use")
03月03日2010年 BSE発生国からの牛肉の輸入を許可 − 連邦政府

  連邦政府は今週、3月1日から牛海綿状脳症(BSE : Bovine Spongiform Encephalopathy)の発生国からの牛肉の輸入を許可すると発表した。 
  連邦政府は人の健康へのリスクはほとんどないとし、これによりアメリカやカナダなどのBSE発生国は、オーストラリアへの牛肉の輸出が可能となる。 オーストラリアの輸入業者は、輸入する牛肉の履歴に関する質問に答えることが義務されている。 
  しかし、政治的な議論がなされているなか、オーストラリア人は家庭での献立のなかにこれらの輸入牛肉を買うのかどうか?が疑問視されている。 クイーンズランド州Mount Isaにある精肉店のダンカン・カーニングハム氏は、「輸入を解禁する決定には失望している。 これは食肉業界やオーストラリアの消費者にとって悲劇的なことである。 それらの国々から輸入される牛肉がBSEに汚染されていないとの確証はない」と話した。 (Source: ABC, 25/02/10 "Would you eat beef from BSE countries?")

01月27日2010年 日本が豪産マンゴの一時輸入禁止を解除 − 豪検疫検査局

  検疫の問題で禁止されていたオーストラリア産マンゴの日本への輸出が再開した。 
  先週、クイーンズランド州南東部の輸出施設で、マンゴの中に未確認の昆虫の幼虫が見つかったことで、日本政府は一時的にオーストラリア産マンゴの輸入禁止を発表した。 オーストラリアは年間300万ドルのマンゴを日本に輸出している。 
  1月20日、オーストラリア政府農業・水産・林業省(DAFF)は、騒ぎの元となったこの幼虫がショウジョウバエであることを確認し、日本が懸念している害虫でないことを発表した。 オーストラリア検疫検査局 (AQIS)は、すでに蒸熱燻蒸処理(VHT: Vapor Heat Treatment)がなされ、出荷寸前の高級マンゴからこの幼虫を発見していた。 
  オーストラリア マンゴ産業協会(Australian Mango Industry Association)の開発マネージャーのトレーバー・ダンマル氏は、「日本への輸出は、クイーンズランド州遠北部Mareebaにあるダイアモンド・スター社が出荷し始めたことで再開した。 問題が早期に解決して、輸出が再開したことは良かった。 マンゴのシーズンが終わったら、検疫検査局と協力して、なぜこのような問題が起こったのかを検証して、再発の防止に務める」と話した。 DAFFの広報担当は、「今回幼虫が発見されたクイーンズランド州南東部Beerwahにある輸出施設は、輸出ライセンスがAQISによって停止され、引き続き調査と見直しが行なわれる」と語った。 
  ダイアモンド・スター社のブルース・タスタシ氏は、「輸入が禁止になる前に、AQISによって検査済みの大量のマンゴが残っていた。 ただちに輸出を再開することが出来た。 Mareebaで発見された幼虫はショウジョウバエで、マンゴの輸出には影響はない。 ビジネスは通常通りである」と話した。 (Source: SMH/AAP, 20/01/10 "Australia resumes mango exports to Japan")

01月20日2010年 サーモンの輸入条件を変更 − 豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、バイオセキュリティー・オーストラリアが検討した結果、オーストラリアが輸入を許可している国々(カナダ、デンマーク、ノルウェイ、ニュージーランド、アイルランド、UK、アメリカ)からのサーモン、そして、それらがポーランドやタイで加工されたサーモンに対して新しい輸入条件を導入した。 
  それらの国々とポーランドとタイで加工された、缶詰に入っておらず、レトルトパックにも入っていないサーモンに対する新しい輸入許可書の申請は、現在受付が可能となっている。 (Source: AQIS, Public Quarantine Alert PQA0644, "Salmon from approved countries and processed in Poland or Thailand")
01月20日2010年 日本が豪産マンゴを一時的に輸入禁止 − 豪検疫検査局
  日本政府が、オーストラリア産マンゴの輸入を禁止した。 
  オーストラリア検疫検査局(AQIS)の広報担当は、「検疫検査局と日本の検査官が、クイーンズランド州南東部の輸出施設で、マンゴから昆虫の幼虫を複数発見した」と発表した。 日本政府はそれ以降、オーストラリアに対してオーストラリアからのマンゴの輸入を一時的に禁止すると連絡してきた。 
  今後、この発見された幼虫がミバエなのか、それとも検疫上問題のない昆虫なのかを検査していく。 この輸出施設での運営システムについては、現在見直しが行なわれている。 (Source: ABC, 14/01/10 "Japan suspends Australian mango imports")